2005/5/12 「トップランナー」
中央が、福井利佐さんです。
左右が司会の山本太郎 さん、本上まなみさん。
この番組は大好きでよく見るのですが、今回は切り絵、しかも女性ということでかなり期待していました。
期待をうらぎらない、久々の衝撃でした。
福井利佐さんは、女優さん?モデルさん?と見まごう素敵な方で、性格もキュート。
が、作品たるや、外見から想像できない、スタイリッシュでグロテスク。
今までにない力強い表現で、見るもののハートわしづかみでした。
多摩美大ではグラフィクデザインを専攻。
1999年 「個人的識別」 が世に出るきっかけになった作品。
信じられないのですが、多摩美大では、同級生の作品を見て劣等感を感じていたそうです。
それで「切り絵」を思い出します。「切り絵があった!」と。
この作品のモチーフは人の顔です。連作で12枚。しかも自分の家族。
自分の顔やおじいちゃんの顔、ガハハのおかあさんの顔はとってもいい味だしてます。
輪郭、しわ以外の彼女特有のほそ~いライン(見えてくるそうです)を加えていきます。
その後、ステンドグラスのように後ろから色紙で色合わせをします。
従来の切り絵の平面感はなくなり、限りなく立体的。
その色合わせした作品の、立体感がとてもパワフルです。
切り絵の概念をかえたと言われています。
小さい頃から、人のくせとかが良く分かる子だったようです。
「この人、笑うと口が右に上がるな。」とか。
福井さんがアートに興味を持ったのは
地元静岡出身の染色家「芹沢けい介」の作品に触れてからだと言うのも、その後知りましたが、
番組では、滝平次郎さんの「モチモチの木」の絵本が小学校の時好きで、模写までしていたなんてことを言ってました。
これにはびっくり。
司会の本上さんの家にもこの絵本があったけど怖かったと。
私もこの絵本、なぜか好きだったのですが、それは高校1年の時。
小学生で模写までするほどというのは、やはり福井さんの今につながる感受性でしょう。
中学校の時バスケ部とともに週1回の「切り絵クラブ」に入り活動していたそうです。
切り絵の好きな先生と福井さんの出会いにも運命を感じます。
笑ってしまったのが中学2年か3年の時には、もうこのクラブ消滅だったそうです。
当時の作品「とうもろこし」を、スタジオに持ってきていたのですが、
ほんとに中学生の作品?というぐらい非凡なものでした。とうもろこしのひげがまた、すばらしい!!
その後、多摩美大で「切り絵」を思い出すまで、「切り絵」とは無縁の学生生活になります。
番組では司会の山本太郎くんの顔をモチーフにした作品をつくりました。
鉛筆でささっとデッサン。次に筆ペンで線を決め、
その紙とラシャ紙の2枚をカッターで切り込んでいきます。
かなりの重労働と集中力。
上半身だけでしたが、「ケンタウルス・太郎・山本」の出来上がり。
見ていると創作意欲わきます。
司会の本上まなみさんが左の耳をやらせてもらっていましたが、ものすご~く楽しかったって言ってました。
でしょ、でしょう。
2004年、東京と札幌で初めての個展を開き、2005年3月には、リリースされた中島美嘉のアルバム「Music」のジャケットデザインも手掛け、
コンサート・パンフレットも中島美嘉と切り絵の絡みで作られており一見の価値有り。
And AとReebokの企画にも採用され、新作スニーカー2型を発表、ということです。
それから、「切り絵の映画も企画中」
福井さん自身の切り絵を動かしたいと、昔から考えていたのだそうです。
まるで、ユーリー・ノルシュテインの「外套(がいとう)」のようですね。
「既成の概念だけではなく切り絵のワクをこえていろんなジャンルとのコラボを考えている。」
まったくもって、目がはなせません。
番組恒例オーディエンスとの質疑応答。好きな音楽は?に
「ヒップホップを聴きます」と答え、
「日本語だと詩にはまってしまうので外国のを。また激しいのではなく明るいのが好きです」
「ア・トライブ・コールド・クエストとかアレステッド ・デベロップメントとか」
作品製作中にも聞いているそうなので「リズムが大切なんです」には納得。
彼女の好きな音楽を聴いて、今度は切り絵に挑戦してみようと思っています。
福井利佐ー要チェックーです。