読み聞かせ 
 読み聞かせボランティア養成講座 第4回 2005年10月5日

「科学絵本はフ~ンではなく、ヘェ~が いい。」

知識ではなく、心が動くということ、今回の趣旨はこれです!

体育座り

2回目の「読み聞かせ講座」の実体験学習です。
9:30~10:00 はまゆう図書館 島田さん
「小学生1,2年生になって聞いてください。」 それなら、これねと「体育座り」。

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1、2年生向け おはなし会 プログラム

きょうのおはなし
うちゅうひこうしになりたいな バイロン・バートン作 インターコミニュケーションズ
おまたせクッキー パット・ハッチンス作 偕成社
どろだんご たなかよしゆき作 福音館書店
うまかたやまんば おざわとしお再話 福音館書店
はなのあなのはなし やぎゅうげんいちろう作 福音館書店



絵本の選び方 - 科学絵本 -

講義開始 北図書館 高瀬さん

「科学」と聞くとカタい・勉強というイメージ
「科学絵本」というと、「知識をうえ込む絵本」と思われがちになっている。

本来、小さい子たちはモノが大好き。
科学的なことがらも、何の偏見も持たずに大人以上に興味をいだく。
幼い子たちは、科学好き。
授業で理科をやり始めるころになると、理科ぎらいが増えてくる。
今、大学受験も理系が敬遠傾向。必ずしも、科学の発展することがいい方向にいくとはかぎらないからか?
理科の成績とか将来の職業とかに関係なく、自分のこととして科学に関心を持ってもらいたい。


大人の科学

見る(観察)

考える(仮説)

確かめる(実験)

知る(知識)

子どもにとっての科学

 子ども時代は大人にとっての科学の世界に入る前の準備段階であり、
見ること・考えること・確かめること・知ることは、「楽しい」、という思いを育てる時期。
そのためには、「すごい」「面白い」といった感動を与えてあげることが大切。

この一連の流れが科学するということ(現、福音館書店の社長 時田史郎さん)「かがくのとも」の編集長をしていた時の言葉

私たちも日々、科学的な思考をしている。
我が子の顔が赤い、目も赤い、咳もしている→観察
熱があるのでは?→仮説
体温計ではかる→実験
医者に行く→知識

花の苗が枯れた。どうして枯れたのか?水は、肥料は、虫は、次はどうすると考えるのが科学的な考え。

「おかあさん、ねこのからだには何が入っていると思う?」
「骨とゴムが入っているんだよ。」と、その子。
見て、仮説を立てるということは、幼い子どももよくやっている。
大人には、思いもよらないような仮説を立てる。
だが、次の段階は難しい。本格的な確かめができるようになるのは4年生ぐらいから。

それまでの子どもたちをどうしたらいいか?
・モノを見る      (習慣をつけてあげる)
・自分の頭で考える   (習慣をつけてあげる)
・確かめる気持ちに持っていく  (その子なりに)

大人がいうだけでは無理。

興味や好奇心をかきたてるもの、そこに科学の本。

時田さん曰く
大人向けの科学の本を噛み砕いて子どもの本にしたものは出来が悪い。
子ども向けの科学の本は子ども向けとしてある。
それは、子どもたちの身近な世界に興味を持たせてくれる本である。

「みんなうんち」…へびのおしりはどこ? こたえは書いてない。
面白させ、楽しませつつ、着眼点を示す、示してあげる。


科学絵本では、主人公に同化するわけではない。
身近なものをじっくり見たり、考えたり、確かめたりすることを導いていく。


読んだだけでは、その科学絵本を半分しか楽しんだことにならない。
実際、見て、考えて確かめて、100%楽しんだことになる。

身近な世界は知ってるようで知らなかったことを気付かせてくれた本が良い絵本。
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ノーベル賞受賞の田中耕一さん「生涯最高の失敗」より

自然の中には自分の理解できないことが山のようにあります。
少し分かったかなと思うと、その倍以上の不思議や現象が。
その繰り返しで無意識のうちに、自然に対する好奇心も畏敬の念も育まれています。

・自然は分からないことがたくさんと感じるか?
 自然は操作できると感じるのか?
感じ方のちがいは大きい。

 分からないことに気付かない→先がない
 分かった気になってしまう→発展しない

15年程前、科学の子ども向けの編集者が
「わからないことはわからないと記す」と言っていたのが、いいのかどうかと思っていたが、世の中には分からないことが、たくさんあるということを示すということはとても大事なことと気付いた。


科学する心を育てる絵本とは

 単に知識や情報を子どもに与えるものではなく、
科学的な題材を扱って子どもの好奇心や興味をかき立てて楽しませるうちに、ものをじっくり見たり考えたり確かめたりしたくなるように導いてくれるもの。
何よりも「感動」を与えてくれるもの。

「必要な条件」
・興味をひく題材
・正確な知識
・明確な説明
・適切な表現
・簡潔な文章
・質の高い絵または写真
・文章と絵(写真)の調和
・起承転結

・「1冊全体を通して事実として正しい」

科学絵本のグレードについて

5、6歳から科学絵本。それ以前はあいまい。

1. 3歳未満

 本格的な科学絵本を楽しむ準備段階である。
まずは、子どもの身近にある様々な「物」に対する認識を育てる絵本がふさわしい。

あえて選ぶと「くだもの」「りんご」「やさい」平山和子作
・認識を育てる
・頭の中によみがえる
比較として
よくあるデフォルメというか、省略というか安易に描けるステレオタイプの絵の本。
・これでイメージがわくのか?

・質感、形態、機能、美しさ描けているか?

高瀬さんが読み聞かせをしていた時に出会った子

普通は4回も連れてくると聞けるようになるのだが、その子は走り回るのみ。
ある時、「くだもの」の絵本を読み聞かせしていたら、そのページの前で仁王立ち。
そして、パクパクと。

お母さんは初めてこの子が絵本に反応したと大喜び。それから食べ物系列から入り、
絵本に親しむきっかけとなる。

・幼い子の絵だからこそリアルに!

2. 3、4歳

子どもが親しめる身近な題材で、楽しみながら知らず知らずのうちに科学の目を育むのがいい。

「どうぶつのおかあさん」
「どろだんご」
「とべとべかぶとむし」
文章がシンプルでリズミカル、少しだけ物語じたて。
・こういうものを経て、科学絵本を読めるようになる。

3. 5、6歳

本格的な科学絵本を楽しめるようになる。
見慣れた事柄に新しい発見があるものが良い。

「こっぷ」 知的で科学的 谷川俊太郎
「みず」  詩的
「てとゆび」自分がとっくに知っていると思っていることに、目を開かせてくれる。

「ほね」 専門的な言葉がでてくる。
 100%この本が理解できなくても、その子なりに受け止めていればいい。
 難しい用語が出てきても、かえって知識欲を満足させてくれる。
 同じテーマの本を読んだ時、その用語との「再会の喜び」もある。

 この本を読んだ保育園児、園庭をスコップでガリガリ。
恐竜の骨を探している。先生は「見つかったら見せてね。」と。
身近な世界に違う世界がひろがる。ワクワク、面白い、楽しい。
ろっこつ、胸骨が難しくても、一冊通して理解できればいい。

4.1、2年生

自分と他人がよくわかるようになってくる。
身近な題材から広がりを持ったテーマのものが楽しめるようになる。
「はなのあなのはなし」
「あしのうらのはなし」
「かさぶたくん」
こどもは真剣に聞く
大人は笑うだけ

「こいぬがうまれるよ」写真絵本。出産シーンもあり、写真は、白黒を使用。
     この本は、写真の特性を生かして成功している本。
     単純に写真を使えばいいとはかぎらない。
     絵では、種の代表として、犬を描くことができるが、
     写真は、特定の被写体の、瞬間、瞬間をとらえる。

写真絵本  種の代表としては伝えにくい。
     絵でないと細かいところが描けない場合もある。
     写真の絵本で成功しているのは少ない。

    *「もうどうけんドリーナ」(成功している本)
      あえて、特定の犬の話。


5. 3年生以上

時間の流れをしっかり認識できる。
専門的な科学情報に踏み込んだものも理解できるようになる。
「やぶかのはなし」
「くさる」 最初は小さい子でもいいかなと思うが最後は、地球規模。
「こうら」 お話会にはむずかしいが少人数で興味のある子はとくにいい。
「だいずえだまめまめもやし」 物語仕立てでとっつきやすい。
「たんぽぽ」大人でも楽しめる。写真で示そうとすると難しいが、この絵の方が正確。省略もしていない。

科学バラエティ番組で「眉毛は何本?」というクイズがあって、
実際に抜いて置いていく手法はこの絵本と同じだった。

科学するとは、絵本を読むことではなくて、実際に経験することと、よく言われるが、
絵本は50%、あとの50%は経験。
すぐれた質の高い絵本に出会えば、絶対にやってみたくなる。発展したくなる。
関連した資料を読んでみたくなる。

科学の原点

「センスオブワンダー」 レイチェル・カールソン 海洋生物学者
美しいものを美しいと感じる感覚、新しいもの未知なるものに触れた感激、思いやり、あわれみ、
愛情などの、さまざまな感情が呼び覚まされると、
次はその対象となるものについて、よく知りたいと思う。

そのように見つけた知識はしっかりと身につく。
消化する能力が備わっていない子どもにも事実をうのみにさせるより、むしろ子どもが知りたがるように道を切り開いていくことのほうが、どんなに大切かわかりません。

・別の言葉でも「知ることは感じることの半分も重要ではない」
・事実をうのみさせることなく、もっと知りたいと感じさせる。  

科学の原点

日常の不思議を見落とさないで、そこで何らかの意味や、喜びを強く見いだすことのできる力。(センスオブワンダー)

・「はなをくんくん」50年前に出版。アメリカで3歳からの科学絵本の賞を受賞。
         自然の動きに強く心を動かして、強い喜びを見いだしている。
         そこを、評価されている。

まとめ


この世の中すごく平凡に見えるが、不思議なことがいっぱい。そう感じさせてあげることは、ひいては、自分が生きているのは捨てたもんじゃない、
平凡ではなく不思議で面白い。この世界に、今生きていることは面白いことなんだと実感させてあげたい。
生きていることは悪くないと思える科学の本に出会わせてあげたい。


第4回の講義を終えて

「科学絵本」というと、やはり知識の本という思いがあり、
中には面白いものもあるけど、どちらかというとお父さん担当、なんて偏見を持っていました。
今回講座を受けてみると、子供も大人も興味をもって楽しめるジャンルでした。
科学絵本は、子どもに生きているのは楽しいんだよ、というメッセージを実生活で送ることのできる身近な本です。
私自身が心の目を開かせてもらった講座だったと思います。

来週は、いよいよ、課題提出です。

Oさんや友人と、どんな本にしようかと盛り上がっています。
一冊は、自分で探してきた本。もう一冊は、みんなの前で自分が「読み聞かせ」をする本です。

来週の講座は「赤ちゃん絵本」の選び方とわらべ歌の実習です。

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