志茂田景樹

ぞうのこどもがみたゆめ

まんねんくじら ひかりの二じゅうまる
「絵本の読み聞かせ実践講習会2005年8月5日より
あの直木賞作家の志茂田景樹さんです。

多才だとは聞いていましたが(タモリさんとの番組で)

読み聞かせ隊長をなさっているとは…

当日は、いろいろな意味でワクワクしながら会場へと向かいました。

はたしてお召し物は、景樹、いや、もとい!過激でしたね。

ライトブルーのジーンズを膝上で切り、その上はランニング。

ブルーのハイソックスにホワイトスニーカーにシルバーのライン。

本人曰く「あんまり暑いので黄色いふんどしで来ようと思ったんだけど

駅で止められるのでこんなに地味になってしまった。」のだそうです。

1998年、秋。福岡の書店のサイン会場で読み聞かせをなさったことが

この読み聞かせのきっかけとなったそうです。

130名程集まったサイン会に30名ほどの子ども。

その子どもたちにした読み聞かせの反応にびっくり。

子どもばかりか、大人の方からも「元気がでた。」「心が洗われた。」などの感想をもらって

年齢の垣根や線引きは出来ない、感動は分かち合えるものだと思われたとか。

始めたころは奥さんと2人でなさっていた活動も、次の年の夏、ボランティアの方が10人を超えたところで

「よい子に読み聞かせ隊」を結成。

今回も、スライド係は奥様。まさに夫唱婦随。

素敵な奥様がいらっしゃるからこその、志茂田さんだということもよく分かりました。

そして、フルートを演奏なさっている辻本佳世さんは、東京交響楽団に所属し、演奏活動も行っているそうです。

志茂田さんとの息もぴったりで、そこはプロゆえにというところでしょうか。

他の読み聞かせとちがうところは、まず、志茂田さんが活字を追ってないということです。

物語のスライド上映はしますが、ストーリーテリングの形態をとっているのです。

その記憶力と表現力たるや、感心しました。

口語りですから、やはり、語り手を選びますね。

そして、フルートで臨場感をかもしながら、絵本の世界へと誘っていきます。

志茂田さんの絵本、「ぞうのこどもがみた夢」

甘えん坊の子ぞうのちょっと悲しい自立の話。

母が死んでいく話は弱いな~私、なんて思っていると、志茂田さんの話が続きます。

楽しい絵本を選ぶ母親。

自分もその当時はそう思っていた。でもどこかでちがうとも思う。

そんな時に、「娘が流す涙を見てホッとした」という手紙を読者からもらった。

あぁ、そうなんだと。

絵本を通して伝えたい事は、いのちの尊さ、いのちは限りがあるからこそ大切。

だからこそ、生きるということは大切。

子どもにはそれを、はやく知ってもらいたい。

今の若いお母さんはいのちの尊さの認識が欠けている。

いのちの感受性が欠けている。

昔は3世代で暮らしておじいちゃん、おばあちゃんも一緒。

おじいちゃんが死んだ悲しみを通して、無くなるということを肌で感じた。

自然に悟った。いのちは大切と言葉ではなくて、悟った。

読み聞かせの時には、4~5才でも涙を流す。そんな絵本を組ませている。

涙を浮かべている子は、回りを大切にする子になる。

ジーンときてしまいました。

志茂田さんが、子どもの絵本の世界を広げることを心がけていることが

伝わってきました。

それから、今日の演題「実践講習会」と銘打つだけあって

こんなコツも。

先ず、くじらの絵本を読む前にくじらの話をする。

「くじらって180種類のくじらがいるんだよ。どんなのがいるのかな?」

「ザトウクジラ、マッコウクジラ、ミンククジラ…」(必ず詳しい子がいるそう)

「じゃぁ、一番大きなくじらは?」

「シロナガスクジラ、30mぐらいにはなるんだよ。ギネスブックには36mのクジラがのってる」

「口ひげはなんのため?」

「あんなに大きいのに、ちっちゃなオキアイやプランクトンを食べるためなんだね。」

「でもね、もっともっと大きいくじらがいるかもしれないよ~」

と絵本「まんねんくじら」へと、引き込んでいきます。

前フリがあると、絵本への集中の仕方が全然ちがうそうです。

それから「ぽんちとちりん」。

そして、アンコールで、「ひかりのにじゅうまる」。

会場は30人程でしたので、すぐそばに志茂田さんがいらっしゃるという、

贅沢な時を楽しませていただきました。

この日本から、世界を豊かな社会にしていきましょう。

それには、こういう小さな積み重ねなんですよ、というお言葉でお開きとなりました。

ライブ感覚の「よい子に読み聞かせ隊」は新しい読み聞かせの方法を提示しているようで

新鮮で貴重な、経験でした。

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