読み聞かせ 
 読み聞かせボランティア養成講座 第9回 2005年11月9日

今日も早めに図書館に着き、ウロウロしていると友人のYさん。
読んで と、薄い冊子を渡してくれる。
保育者と父母を結ぶ雑誌と副題のつく「ちいさいなかま」という本。
Yさんにはいろいろ教えてもらって、感謝、感謝である。

今日の講座まで時間があるので、その冊子に目を通す。
・子どもが好きな絵本ベスト5
・大人が好きな絵本ベスト5
31冊ランクイン、ちょうど私たちが選んだ本も31冊。
あるある、聴講生の選んだ本も入っている。

今日の養成講座はリスト以外の、聴講生の選んだ本を評価する、という内容。
司書の方がどんな評価をするのか、とても楽しみ。

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「絵本の選び方」実習

いつになくキリッと見えるのは、ダークなスーツのせいなのか、今日の担当は高瀬さんです。
その理由は、この講座が始まるやいなや、わかりました。
前回、前々回の読み方実習が終わって、なんとなくホッとしていた気分に活を入れられました。
司書の方たちの本への姿勢、いや子どもたちへの姿勢でしょうか、心に迫る講座でした。

自分の選んだ本が
「良いですね~。お父さんが出てくるのがいいですね~。」なんて言ってもらえるのかな、なんて期待してたのかも…
恥ずかしい、甘かった。
31冊、一刀両断!!でした。

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書評の前に、高瀬さんから今日の講座についての話がありました。
とても大事なことでしたので、こちらは記載しようと思います。

今回の書評は高瀬さん個人のものではなく、今回の講座の担当者ならび担当はしていないが
児童書を長年担当してきたベテランの職員とともに現時点での
「浜松図書館」としての評価をまとめたものだということです。

ー現時点での評価、永久ではない。ー
子どもを取り巻く社会の変化
子ども自身の変化(10年前にはリストに載せたが今の子どもには?とはずしたのもある)
今後、すぐれた絵本が出版された時に、それと比べてどうかという評価もある。
(いいものが出てきて、優先順位で載せられないものもある)
初版リストにはのせたが10年20年たって評価が下になってしまうものもある。
(その時見えなかった欠点が見えてくる)

評価のプリントを下さいと言われたりもするが印刷物にするとそれが一人歩きをしてしまい
永遠の評価になってしまう恐れもある
今日ここにいる人が自分でメモをしてかみ砕いて評価をしてください。

ー評価を聞いて納得いかないというのも当然でてくるー
こういう考え方、見方もあると参考にしてください。
これが絶対の評価と押しつけるつもりはない。
ここでだめと言われても、いろいろな講習会や本では良い評価がされていたりするのも当然ある。
いろんな評価を見聞きし、自分なりの評価をする。

職員にも個人的な好みはある。
皆様にはお勧めしないが個人的には好きというのも、もちろんある。
その気持ちは別のところに置いておいて客観的に評価するよう職員一同、心がけている。
20~30年勤務の職員も迷いながら実践もしながら、いろいろな絵本の専門家の話も聞き勉強している。
個人的な好みは置いておいて、
「子どもにとってどうなのか?」
を考えてきたつもり。
客観的にみる基準というのを作ってやってきた。
それにそって今回も評価した。

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今回は、司書の方の意向を踏まえ、書評をそのまま載せるのは、控えさせていただきます。
ただ、高瀬さんをはじめ司書のみなさんの視点がどこなのか、何を基準にしているのか
講座の選書方法を聞いた時よりも、より実践的で勉強になったので、エッセンスは見ていただきたいと思います。

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・下の子が生まれた心の葛藤を描いている。
この設定でのお勧めは「ピーターのいす」・「フランシスのいえで」
評価のポイントは
・主人公の体験が自分のこととして実感できるか?
・親の愛情を最終的に実感できるか?
・その家庭における自分自身の存在意義が確信できるか?
・そのいずれかによって、自分自身によって心の葛藤を乗り越えられるようなお話の展開になっているか?

この本では主人公の大泣きする気持ちに共感するのは難しい。
幼い子は、気持ちの変化というのを出来事でなければ分からない。
絵で、主人公の表情に目がいかない。
気持ちの変化が分からない。
気づきにくい。
突然の大泣きの理由がわからない。

「フランシスのいえで」では、出来事で(ほしぶどうがバナナになっていてそれはお母さんが忙しくて買い
にいけない)分かる。
「ピーターのいす」では出来事が分かりやすい(ピンクに塗られていく)

この本では強い不満をアピールしているのに何故なのかわからない。

「フランシスのいえで」ではしっかりお母さんがあなたは大事と言葉で言っている。
この本では、言葉がない。

小さい子や、同じ状況にない子たちには、気持ちのくみ取りが難しい。

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耳なれない動物
一ページに登場する動物が多い。
体の大きさ、見た目のちがい、声・音のちがい、巣のちがいがいろいろな視点から説明でかいつまんだ感じ。
聞いていても、消化できない。
もう少し、焦点をしぼってくれるといい。
テレビのアニメーションのよう。
場面の展開がはやくじっくり聞き手が一つのことを思い巡らせられない。家庭ならまだその時間がとれるのでいい。

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壮大なファンタジー
あらすじを見た時にこの壮大さを絵本でどうやるのかと思った。
話がすごいスピードで展開していく。
それはいいのだが、それは有ることなんだと思える語り方をしなければいけない。
絵本では、この文章量では読み手も聞き手も満足できない。あまりにも唐突すぎてウソ!と思ってしまう。
ファンタジーはうそ!ではなく迫真のリアリティーを持ったもの。
「ウソっぽい」「こんなことあるわけないじゃん。」と子どもが感想をもらすものもある。
それは、作者の「物語を語る力」
それがあれば絵本でもできたのでは?
絵本の出だしが納得いかない。主人公の孤独感が伝わらない。
絵がいいので、もっと話を聞きたい。絵本という形では伝えられないのでは?

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心理描写は緊迫感があっていいが、小さい子には分からない。
絵は余分なものを描いていないのでいい。
残念なのは最後。いかにも友情もので終わって欲しくなかった。
せっかく、テンポよく来ているのにそのままテンポよく終わって欲しかった。
むかしばなし風にして欲しかった。面白かっただけに残念。

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かわいい絵なので小さい子向けかと思ってしまう。
人間が出てくるあたりからかなり思いテーマだと気づく。
意外性はある。ヤングアダルト、ニート向け。
「クサイ」

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兄弟、本人は全然気にしていないのに、回りの大人が否定している。
自分が否定されている。
子どもには過酷。
最後、大人が改心しているが、あまりにもあっさりしすぎ。
話の始めが1ページ抜けている感じ。
読み聞かせには難しい。

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話には共感できない。へんな人と笑う話。
積極的にお話会で使うものではない。
すごくいいわけではない。

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からだのことは、関心もって見る。家庭ではOK。
読み聞かせでは照れる子がいる。
大勢向きではない。

母乳で育っていない子もいるのでその後、ていねいにフォローできる環境で。

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小さい絵なのでかなり少人数か家庭で。
細かい絵を楽しむ本。

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主人公はどっち?
せりふがどっちか分からない。
会話ですすんでいくのでどっちがしゃべっているのか分からない。
一人読みに向く。
ものすごく文学的に高い作品ではない。

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絵本はいい。グレードは高い。
が、いつでもどこでもではない。読み手、聞き手を選ぶ。

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ブラックユーモア。小さい子にはだめ。怖さが先になる。

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昔ばなしの評価。
・口にのりにくい。
・聞き取りにくい(数種の動物)
遠目で見にくい。
昔ばなしの再話では、文章が今ひとつ。
積極的には使えない。

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あまりにもおなじみ。絵本自体は大判だが絵が細かい。
少人数が気ごころしれたメンバーか家庭向き。

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かわいい絵取っつきはいい。
主人公がはっきりしないまますすむ。
固有色(リンゴなら赤。バナナは黄色)ステレオタイプの色合い。
黒がきたないという前提で話がすすむのが気になる。
子どもは本来黒への偏見はない。
あんまり積極的にはすすめない。

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赤ちゃんが突然でてくる。
もう一人が何者か分からない。
主人公がはっきりしない。同化しずらい。
大人には好まれる。
ファンタジーとリアリズムの境目があいまい。
絵に惑わされがち。
うそがあるファンタジー。お話会では使わない。

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昔はなし。由来はなし。
再話が今一つ。
方言がどこのか分からない。

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感情が理解できにくい。

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小さい子むきではない。
1回読むとわかる話だが、謎解きするには物足りない。
1人読み向け。

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大人に好まれる本。
微笑ましい子どもの失敗をえがく。
子どもの失敗を大人の視点から書いている典型。

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哲学的。
自分に課せられた役割に期待され、頑張る。
中・高校生~大人
お話会に使えない。

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文章、敢えて詩。
説明文としてはくわしくない。
ところどころ、説明が欲しい。補足が必要になる。
へぇ~にはもう少し。
絵はダイナミックでいいが遠目でみると何が書いてあるのか分からない。

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主人公の説明が足りない。大勢で読んだときに見にくい。
最後にお小言があるのが不本意。

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分かりやすいが文学的にもう少し。
リスト候補には乗るのだが、今時点では不明。

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分かりやすいが突然動物がでてくる。
解決する方法がうそっぽい。
突然でてきて突然消える。
何の脈絡もなく、必然性もなく、突然は「うそっぽい」。
葛藤を乗り越える主人公の気持ちまでにはならない。
ファンタジーに必要な現実感がない。

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子どものけなげな行動は大人は感動。
☆当事者の子どもにとってはどうか?
設定そのものに疑問あえて大人がやらせている。
けなげながんばりを大人が見たい。
これはリストには載せない。

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自己犠牲があきらかなテーマ
戦争中に頑張った年代の方が作った話。
「人のために辛抱しなさい。」
ほんとうにそう思うのか?
大人がこういう子を良い子と思うのではないか。
こういうテーマは、子どもを傷つけたり、不安にさせたりする。
大勢の前で読むには危険な本。

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兄弟愛
心情の変化をくみ取れる子ととれない子がいる。
大人の思いがとても伝わる。息苦しい。
控えめな主人公は報われない。
なかなか共感できない。
大人の意をくみ取れる子は、感想文が書ける本。
おしつけがましい。

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色使いダイナミックでいい。
自己否定→肯定→否定される(おおきな満足は得られない)
敢えてとりあげる本ではない。

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親しみやすいキャラクター。
現実にある場所なのでそこを知っていると楽しめる。
知らないとワクワク感は伝わらない。
シリーズで買ってうちで楽しむ本。

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総評

これは、絶対的評価ではない。否定的なことばかり言って自分でもいやになると高瀬さん。
ほんとうにいい絵本は10年に1冊でるかどうか。
子どもにとってどうなのかで選ぶ。

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さすがに2時間こう、否定的なことばかり聞かされると正直ドーンと落ち込みました。
ですが、司書の方の絵本に対する、そして子どもに対する真摯な態度はほんとに頭が下がります。
厳選して厳選して、リストを作ったというのが、ほんとうによく分かりました。
願わくば、もう一度選書をやらせてもらいたいなと思っています。
リストに載せるぐらいの意気込みで、持ってきたわけではなかったので、リベンジさせて欲しいです。
でも、それもかなわぬこと。
このくやしさを胸に、いつか見つけてやる!!と決心しました。
高瀬さん、おつかれさまでした。

来週はいよいよ、最後。
いよいよ、いよいよです。

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