柳田邦男

絵本の力

絵本の力

童話の世界というのは、シュールといっていいような、突拍子もないことがいろいろ起こる。
それがときには、非常にコミカルに面白く描かれていたり、ときにはジーンときたり、シーンと静まったりする雰囲気で描かれる。
そういう何か突拍子もないことをどんどん描けるというのも、 絵本ならではの自由度ゆえのすごく面白い表現方法だと思います。
何をやっても許されるというか。

言葉の力、生きる

言葉の力、生きる力

人は5、6才おそくとも7、8才の時に何かに強く感動したり、心を惹かれたりする経験をすると、それが、原型となって、 右脳の中にどういうものに感じやすくなるのかのレセプター(鋳型と呼ぶべき受容体)が形成されるのではないか。
感動が強烈だとレセプターは確固たるものとなりそれから鋳型にはまる対象を求めて、飢えを感じるようになる。
そしてその飢えが受動的な次元に高揚した時、その人は、 絵、音楽、演劇、舞踊、写真、映画、小説、詩、歌 など何らかの表現活動に踏み込んでいくことになる。

感性豊かな作家や画家によるすぐれた絵本は 詩と同じく物事の本質的で大切な部分を表現している。
ひび割れた心に潤いを取り戻すために、人生後半にこそ絵本。

砂漠でみつけた一冊の絵本

砂漠でみつけた一冊の本

人が人生で出会うさざまな危機や波瀾に対処する心のやわらかさを 獲得したり、他者の悲しみや痛みに対する理解と思いやりの心を 持つようになったり、美しいものに感動する豊かな感性を持つように なったりするように心が育まれるうえで欠かせないのは、 少年、少女期にさまざまな物語に接すること。

絵本とは魂の言葉であり魂のコミュニケーション

人生後半になって絵本や物語に親しむのは、その人の内面的な成熟に結びつく営み

人間が生きるのを支える言葉というものは、案外短くて簡単なもの

絵本:心を耕してくれる世界

絵本の世界、童話の世界と言えども時代の状況と無縁ではあり得ない

戦争をどう語り伝えるか、その語法は次第に困難になりつつある。

人生の後半になって自分ののために絵本を読むと、深い味わいがあって、 人生や生き方についてとても大事なことに気づく。

読みきかせの活動:明日を生きる子どもたちの心の成長を支える重要な一翼を担っている。

読み手側も、絵本の言葉や絵の中に新しい意味を発見したり、 子どもたちの気づき方や感動の対象や目の向け方などから、 予想外の気づきや感動を体験したりすることが多いのだ。