椎名 誠
- 絵本たんけん隊
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絵本たんけん隊ぼくは福音館書店のお勉強絵本というのはわりと好きで、かなり子ども用の絵本でも、 モノを書くうえで基本知識を得ることができるんです。
けっこう、家でひとに見られないようにして、密かに絵本で勉強しているんです(笑)。
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「氷を吐く火山」というのもいいですねえ。
その星そのものがマイナス二千何百という超低温の星なので ここではむしろ氷が熱いわけなんです。
そういう極低温の星では相対的に氷が熱いんでしょう。
だからそれが外に噴き出てきてしまう。
氷がぽかんぽかん出てくるのを想像して、かなりぼくは興奮しましたよ。
でも、それは目で観測されたわけではなくて、 データによって科学者たちがそういうことになっているだろうと推測したんです。
これなんか本当にある絵本の世界そのものだなと思いました。
不思議な星というのは、子どもだちにとってひじょうにいい世界ですものね。
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きょうの話に関連する絵本を探すために、 息子の岳(がく)の部屋に久しぶりに入りました。
彼の本棚をずっと見ていたら、「もりのへなそうる」という本があったんです。
これはずいぶんぼくも読んであげた、思い出のある本です。
まさかいまだに持っていたとは思わなかったな。
実にこの本は、ほのぼのとあたたかい、笑える本で、 ゲラゲラ笑いながら読んであげた記憶があります。
やっぱり絵本というのは、かなりいろんなところに影響し、 人生に関係していくんだなと思いました。
もしかするとすごくだいじな世界かもしれない。だいじなことはよくわかっていたけれど、 もっともっととってもだいじかもしれないと思ってきました。
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うさぎさんてつだってほしいの 「 うさぎさんてつだってほしいの」。
これはちょっとふしぎな、ある種示唆的な、教訓めいた話でした。
なにを示唆し、何を教訓にしているのかぼくには明確につかめないんですがネ(笑)。
きっと見るひとによってそれぞれちがうように受け止めるんでしょうね。
外国の絵本はしばしば宗教観がベースに入りますので、 考えるときはそのへんを加味しないといけないです。
日本はほとんど宗教的なものは入ってきませんから、 意外に単純にストーリーだけで話の内側を見ていけばいいので、 楽といったら楽なんだけど、底が浅いといえばそういうコトになりますよね。
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たまご
アンジュール ぼくは本をプレゼントするんだったら、これがいいと思う、すごく。
このバンサンの絵というのは大人がじゅうぶんたのしめるし、
子どもも子どもなりにたのしむことができる。
『アンジュール』
『たまご』
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ゆきだるま 素直に見られるのが子どもの特権ですね。
ぼくは素直じゃないから、映画として見ますから、 自分ががつくるとしたらどうなるかというたのしみがあるわけです。
この話はいちばん最後に悲しいオチがありますよね。
これを十五分の短編映画でつくるとしたら、最後はどうやってこれを表して、 どんな音楽を入れるかなんてことを考えると、 それだけで三十分ぐらいたのしめるんです。
そんなふうにひじょうに読み込む選択肢がたくさんあり、そして奥が深い、 空間が広いというのが、活字本にはない絵本の力だと思います。
力ですよ。
『ゆきだるま』
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はじめて人間が死を意識したころから、もしかすると、 人間は大人の思考をしていくかもしれないんです。
あるいは、やさしさみたいなものを、 本気で自分のなかに組み入れていくのかもしれない。
そのへんはよくわからないけれど、死を意識するということはいいものだなと思った。
そして、たくさんの困難な状況に置かれた人たちをきちんと見つめて、きちんと考えていくということも、 すごくだいじなことなんだなと、いまぼくは考えているんです。
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それぞれいろいろな宗教観や文化・経済の発達のちがう国の子どもたちに、 あまり文字のない絵だけの世界で、共通の感動を与えるというのは、絵本特有のすごい世界ですよね。
これはまさしく知の伝達としてはもっとも優れた世界です。
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アクティブに本を読むということは、とくに絵本の場合は意味が大きいと思います。
絵本は子どものためにつくられている思われがちだけれど、そんなことはないと思うな。
これは人間のためにつくられているんです。
だから、年齢は関係ない。
男女差も関係ない。
もっと言えば、絵本は読む人の感性に向けてつくられているんです。
だから、子どもでも読める、大人でも読める。
そこなんですよね。
その人の知識の蓄積に向けてつくられているわけじゃない。
そのへんのことは、かんたんなようでいてすごくだいじなことです。