レイチェル・カールソン

センス・オブ・ワンダー

センス・オブ・ワンダー

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。
残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄み切った洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、 あるときはまったく失ってしまいます。
 もしわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることにない 「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けて欲しいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる怠慢と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなど に対する、変わらぬ解毒剤になるのです。
妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわってる子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、 わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、 感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。

子どもといっしょに自然を探検するということは、まわりにあるすべてのものに対するあなた自身の感受性にみがきをかけるということです。
それは、しばらくつかっていなかった感覚の回路をひらくこと、つまり、あなたの目、鼻、指先のつかいかたをもう一度学び直すことなのです。

人間を超えた存在を認識し、おそれ、驚嘆する感性をはぐくみ強めていくことは、どのような意義があるのでしょうか。 自然界を探検することは、貴重な子ども時代をすごす愉快で楽しい方法のひとつにすぎないのでしょうか。 それとも、もっと深いなにかがあるのでしょうか。