2005年12月22日

幼稚園嫌い  (byうさぎママ=一甫ちゃん)

20051222candle.jpg私は幼稚園が大嫌いだった。

特に年長のクラスは、一年で先生が5人も代わり、 同じクラスにG平といういじめっ子もいた。
いつも新しい未熟な先生が、生徒の性格やいろいろな事情を知らずに、
「G平くんがリーダーシップがありますから」
なんて言っているところを目撃してしまったりすると、
「あぁこの先生もダメ先生だ・・」と思い、何の期待もいだかなくなった。
G平くんは、もちろん自分で殴ったり蹴ったり悪口を言ったりすることもあったが、それだけでなく、
私と仲の良いちぇっくんに「おい、一甫のところ行って殴ってこい!」とか命令するのだ。
大きいのに気の弱いちぇっくんは「一甫ちゃん・・ごめん・・・」と言いながら、本気で私を殴った。
私はがーんとしてくらくらした。
こんなことがあっていいのだろうか、事情はわかるが、何を信じていいのかわからなくなってしまうってものだ。
G平くんにはやはり同じクラスに双子の姉がいて、こちらは物静かで性格の良い女の子だった。
その子はよく私のところに来て「一甫ちゃん、ごめんなさいね。G平は一甫ちゃんのことが好きなのよ・・
だからそんなことしちゃうと思うの・・」
私はもっとわからなくなった。
殴られるくらいなら嫌いになってくれたほうがよっぽどマシだと・・・。
先生に幻滅、クラスメートもしかり・・となると、園を脱出するしかない・・。
そう考えた私は、ある日それを決行した。

幼稚園にはバス通園だった。バス道路を歩いてくると、大人の足で20分くらいだろうか、
私は、猫のように方向感覚が良かったので、園の裏山をがさごそ・・
道なき道を進んで行けば、うちの裏山と繋がっていることをなんとなく想像していた。
先生に「今日は用事があるので、途中で帰らせてください。と言うように母から言われてきました」と、
できるだけそれらしく丁寧に先生に話すと、
若く未熟な先生は、その言葉を信じてしまって、うちに確認の電話を入れることもせず、
途中で私をひとりで家に帰してしまった!!!

こんなことを今したら、大問題になって、この先生はなんだかの処分を受けることになるのだと思うが、当時は結構おおらかだったのね、その後問題になった記憶はない。

私は、園の裏山側の門を出ると、こっち!と方向を定め歩き出した。
途中やぶがあったり塀があったり崖があったりしたが、とにかく歩いた。
自分の信じる道を・・道なき道を進んだ。
どのくらい歩いただろう、
喉がかわいてふらふらになったとき、私の家の建物の屋根がちらりと林の向こうに見えた!
よし!とまた元気を取り戻し、また歩き、登り、這い上がり・・とうとう家の前にたどり着いた。
私の額は薄っすらと汗がにじみ、表情は満ち足りていた。
そしてピンポーンとベルを鳴らすと、家の中から母が出てきた。
「ただいま〜!!」にこにこ顔で私が言うと
母は
「何しているの!!どうしてひとりで帰って来たの!!」
と頭ごなしに私を叱り付けた。
そりゃあ母にしてみたらびっくりだよね。
でも、私はやっと敵の手から逃れて家にたどり着いた子犬のような(あっさっきは猫だった)心境だったので、ショックのあまりその場で立ちすくしてしまった。

そんなおかしな幼稚園生だった私。
うさぎのコース担任のY先生を見ていると、
こんな先生の元で生徒をやってたら、もう少し素直でよい子になっただろうになぁ、といつも思う。
昨日、ほんの少し子供の頃の話を、Y先生にしたら先生が
「たいへんだったんだねぇ」と言って、私の頭をいいこいいこしてくださった(笑)。
なんだか胸の奥につっかえた魚の小骨みたいなものが、すっと取れたような感じがした。

すべてが解決した・・心の中の固まりもすーっと解けて行った。

Y先生の生徒になりたい・・って思っていたけど、もうすでに生徒だったんだなぁ・・
とちょっと幸せな気持ちになった。

先生!うさぎが卒園したら遊んでね!!

投稿者 : 18:44