2008年01月30日

「ミシシッピがくれたもの」

20080130hon.jpgこの本は、題名と表紙のフェミニンな絵で、ずいぶん損をしていると思う。
手に取ったとき、この本の中身の重みをおもんぱかることは、出来なかった。
本棚に返そうと思うのだが、それでも借りてきたのは、何故だろう。
200数十ページ足らずの本に、なんと重たいアメリカの歴史が書き込まれているのだろう。
今のヤヤぐらいの時に、「アンクルトムの小屋」を読んだ。
奴隷と言う言葉を知る。
南北戦争を知った。
それから何十年もたってから、もっと深い歴史があることを知ろうとは。
たぶん、日本人でこんな歴史の裏側を知っている人は、そうはいないのだろう。
南側からの話ではなく、かといって北側からとも言い切ることもできない、とても微妙な立場からの話である。
「人種のるつぼのアメリカ」この本当の意味を、私は分かっていなかったということに気づかされた。
旅行をすると、未だにぶつかる人種差別。
 

プールで泳いでいると、今までのんびりプールの中だったのに、黒人が入った瞬間に、あわててプールサイドにあがっていく白人。
そんなのを目の当たりにすると、終わっていないんだと感じる。
この本の中では、ミシシッピー川岸の片田舎に、謎の女性2人デルフィーンとカリンダが、上流社会の文化ごとやってくる。
そのあたりの、きらびやかさは、女性だったら興味のあるところ。
悲しいかな、でも、そのきらびやかさの裏には、彼女達の出自の謎解きが、隠されている。
歴史小説だと思って読んでいたら、いきなりの推理小説だった!!
大どんでんがえしに言葉を失った。
戦争の悲惨さの描写は児童文学本の中でも、これでもかと、かなりリアルだった。

原題「The River Between Us」私たちの間によこたわる川 
この川は今でも、様々な人々の心の中によこたわっているのだろうか?

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