2008年11月13日

ごきげんいかが がちょうおくさん

20081113hon1.jpg60代になったらこその本と、翻訳家 清水真砂子さんが言われていたのが気になって借りてきた。
「読んであげるなら 4才から」「自分で読むなら小学校初級から」なのだが。。。
主人公は、そこつ者のがちょうおくさん。
でも、そのそこつ者とは、私でも有り、あなたでもあり、あの人でもあると清水さん。
でも、そればかりでなく、そのそこつ者の回りの友人にもなっていたりすると。
読んでみると、ほんと!これって私?だ。
本人は大まじめで、一生懸命なんだけど、ピントがはずれていて 何処か危なっかしい。
幼年童話らしく、ほんわかハッピーエンド。
でもそれはがちょうおくさんの努力というよりも、回りの友人がほんとにも〜!と言いながら世話を焼いているのだ。
どうぶつむらの友人が<あたたかく見守っている>のであれば、並の作品。
月並みの子ども文学は<あたたかく>が好きなのだが、この作品はまあ<しかたなく>。(笑)
ここが、スゴイ!と清水さん。
ほんと、どの短編も笑ってしまうのだが、どれもリアリティがあり、この本の作者の一ひねりにまた感じ入ってしまう。
 私が、がちょうおくさんの話の中で、気になるのは<うちにはだれもいません>。
  

20081113hon2.jpg大好きなジャムをつくるため、市場にぶどうを買いに行く。
その間に、友人がきたら大変と「十時まで うちには だれもいません」と張り紙をする。
ところが、買い物が早く終わって帰ってくると、この張り紙。
「ということは、なかにはいれないってことね。十時までまたなきゃ。」
そこで、登場!しっかりもののりすおくさん。「おかしいんじゃないの?」と。
そう言われて、ちょっと変?と思うには思うのだが、そこは、がちょうおくさん!
黒い目で、厳しくみすえてきっぱり言うのだ。(笑)
「あたし、いつだって、ほんとのことをいうわ。だから、もし、あたしが、十時までだれもいないっていったら、それは十時までだれもいないってことなの。だからーあたし、それまでまってるの」
もう、この乗りは、「がまくんとかえるくん」の女性版。
女性同士だからなのか、ちょっと辛口?
あのがまくん、かえるくんにはないアクというか、スパイスが利いている。
で、話にもどるが、このがちょうおくさんみたいなことって、普通に生活していていろんな所で、遭遇するものだ。
がちょうおくさんのえらいところは、最後 一人で考えているところかな?
「どうして、あんなさわぎになったのか、さっぱりわからない。
いったいぜんたい、あたしうちにいたのかしら、それとも、いなかったのかしら?」
事件があっても、笑いっぱなしで終わらせないというところに、作者の思慮深さを感じる。
そこら辺のことも、清水さんは、冷笑からユーモアに変える妙を言っていたのだが、私もこの作者の人柄の良さを感じた。
 

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